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CaseFile/VFX

特撮ヒーローその他もろもろ 僕が思ったことを書いていきます

未来戦隊タイムレンジャーという不朽の名作

どうも、コロんビアです


未来戦隊タイムレンジャーは子供の頃から大好きで未だに一番気に入っている特撮ヒーローです
確かに設定は細かい所を見れば破綻しているし、少し詰めが甘い所もある、アクションは正直言ってショボいし敵を倒す爽快感は皆無に等しいです
でもそれを抜きにしてもタイムレンジャーは好きだしこれらの欠点が霞む程の魅力があります

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タイムレンジャーは一言で表すなら「未熟な若者達の青春群像劇」なんですよね
一人一人が自分達の行き詰まった状況や境遇に苦悩しながら「明日を変える」為に戦った
悪を倒すためではなく成長するために戦っている
5人にとってタイムレンジャーとは自分達の今の居場所なんです
そして戦いを通す度に彼らは問題に直面し、一緒に乗り越えて成長していった。
タイムレンジャー」という作品においての戦闘はドラマに深みを出す為の道具でしかない
その為、変身後の個性は歴代トップクラスに薄いのんですが、逆に言えば変身前のキャラクターそのままなので戦闘中でもドラマを行いやすいんですね

そういった視点で描かれた彼らの物語は純粋で健気で儚く美しく勇気をもらえるものでした
二話で主人公の竜也は自分が置かれている状況から抜け出したいが故に父親と賭けをする、その為にあの4人に会いに行って力を借りようとするわけですが、そこで4人が境遇こそ違えど自分が置かれている状況と同じだと察する
そこで

「未来は変えられなくたって自分達の明日位変えようぜ!…できるさ!だってさ、次の瞬間何をするか決めるの、どう考えたって自分だろ?」


と言ったことで、状況に行き詰まっていた彼らの心に響き、そこから皆の求心力として、仲間となり一緒に成長していく訳です
この言葉は境遇が違っても「未来に行き詰まっている」という立場は同じ竜也と4人だからこそ成立するので凄く巧い部分ですね

6話で竜也は「浅見」という名前の重さを痛感してしまうんですが、竜也はそれでも尚、「明日を変える」事を選びます

そしてこれらのエピソードが遂に結実するのが44話!
43話にて今まで自分達の意思でやってきたと思っていたことが全て歴史通りで結果的には浅見グループを継ぐ事が確定している事が明かされ自暴自棄になり会社を継ごうとする竜也ですが、母親に父親の真実を教えられ激励され改めて「明日を変える」事を決意し仲間の元へ向かうんですが、竜也は今まで「明日を変える」事を言い訳に現実から逃げてきた節があるんですね
ですがこのエピソードで「歴史なんて関係ない、自分の意思で明日を変える、次の瞬間に何をするか決めるのは歴史ではなく自分自身なのだから…」という結論に至ります。この結論、実は竜也が2話で4人に言った言葉と同じなんですよね
2話の時点では十分だったとはいえ「自分達の明日くらい変えようぜ」という言葉にはやや説得力に欠けるきらいがあった、何故なら二話の時点ではその言葉は励まし、目標に過ぎなかったから
でも43話では「明日を変えるつもりでやっていた事が既に決まっていた」という現実をより克明に突き付け竜也の「明日を変えるという行動理念」を全否定しました
それを持って竜也はどのような結論に行き着くのか?
2話と同じ状況を主人公である竜也に持ってきて、よりドラマチックに苦悩の果てにその時と同じ結論を出させる
現実を受け入れ、その上で行動する事を選択する

この44話をもって竜也というキャラクターは完成を迎えます
おそらく彼は最終的に浅見グループを継ぐことになった。でもそれまでの彼とは違う、彼は「明日を変える」こととは「現実から逃げる」ことではなく「今と向き合う」ことだと気付いた、だから最終的に道は同じでもあの時間は決して無駄ではなかった
あの時間を通して竜也は仲間と出会い色々な事を学び成長した
実際に未来は変わらずとも彼の明日は変わったのだ、そのまま家を継いでいれば彼は父親のような人間になっていただろう、でもユウリ達と出会い色んな事をした大切な想い出と時間…、それを得て竜也は自分の未来を受け入れた

もう現実から逃げるような竜也ではない、今の竜也ならどんな壁にぶつかってもしっかりと現実に向き合い乗り越えられる、そんな強さを持った立派な大人に成長できた…

この主人公である竜也の成長ぶりが今作の大きな見所の1つですね
アヤセとの秘密の共有とそれによる熱い友情
ユウリとの恋愛
滝沢直人との因縁
偉大な父親との確執


等々美味しい要素を詰め込まれており、この様々な側面で描かれる竜也の成長劇はとても見応えのあるものであり、未だに好きな戦隊レッドNo.1ですね
小林脚本の作品はどうしても主人公がものすごく優遇され、この作品も例外では無いのですが、その代わりに他のメンバーも準主人公と呼べるほどの優遇と活躍ぶりであり、小林脚本の中ではなかなかバランスが取れた作品ではないでしょうか

何よりキャラ一人一人に「年間を通して掘り下げるテーマ」が設定されていたのがポイントで、これによって誰も空気になることなく、それどころかそのキャラのテーマを番組の「明日を変える」というテーマと絡み合わせて、キャラとドラマ両方を昇華させていました、ただシオンが他に比べると残念ではあったかなぁと
敵組織もしっかりとキャラが立っているし黒幕であるリュウヤ隊長も「明日を変える」事に沿って造形されたキャラですし、こういう所の扱いの巧さは凄いです
敵の扱いも上手く
タイムレンジャーは「逮捕」
ロンダーズは「金儲け」

となっているのでヒーローが勝つという作劇にしつつも敵の目的が達成されていたので最後まで威厳を保つことが出来ました
また未熟な若者でありながらキチンと「大人やプロとしての自覚」を持ち時には自分の弱みを利用するなど様々な駆け引きを用いロンダーズの囚人を一貫して逮捕し続けました。
このように主人公達の成長劇でありながら、一年間ヒーローとしての責務を全うし続けたのも評価されるべきポイント
また敵組織であるロンダーズの凄い所は緻密に過去や心情を描き感情移入できるキャラクターとして造形しつつも、ちゃんと「倒すべき悪」として描かれている所なんですね(正確には逮捕ですが)
勧善懲悪の形を見失わずにキャラクターとしてしっかり掘り下げ成立させているのがお見事


中盤以降に登場する滝沢直人にもちゃんとした「テーマ」を持たせていて竜也のアンチテーゼとして機能させ同時に現代社会に対する皮肉も込められていましたし、凄く難解な存在でした。
竜也のアンチテーゼではあったものの根本では似た者同士というのは「明日を変える」という面で共通していたからでありこの作品らしいなぁと


またこの作品には裏テーマとして「生と死」が盛り込まれており「竜也と直人」と同じように「アヤセとリュウヤ隊長」の対比を用いてそのテーマを表現していました
どちらも長くは生きられない運命にあることを知り、生きたいが為に明日を変えようとしたことが共通しています、結果としてリュウヤ隊長は自分の命と30世紀を救うことに無我夢中になり運命を変えられず、アヤセは自分の命を捨てる覚悟で仲間と共に21世紀を救うことを選びました
誰が悪くもない、皆懸命に明日を変えたかった…

何より見事なのはこの作品、
スーパー戦隊の基礎となる「団結」と「星を守る」という2つのテーマをしっかりと達成しているんですよね

タイムレンジャーの5人は本当に偶然出会っただけの他人同士です、竜也以外の4人はリュウヤ隊長に変装したリラにたまたま選ばれただけです(ユウリは自分から志願しましたが)

そして21世紀に着き倒れていた所にたまたま竜也が出くわした
詳しい説明は省きますがそこから5人はタイムレンジャーとして戦っていく訳です
「ロンダーズを捕まえる」という使命感
「明日を変えたい」という自分達の意志

これを基軸として戦っていき時には悩み時には困難にぶつかる、でもその度に仲間達と協力し立ち直る、決意をする
明日を変える為に…

こういった過程を踏んで丁寧に「団結」を描きました

次に「星を守る」というテーマはこれまた「明日を変える」という今作独自のテーマを使い巧く描きました
何度も言ったようにタイムレンジャーは「明日を変える」為に戦っています
でもそれはあくまで「自分達の為」という側面が強いんですね、根っこはとても明るく優しい青年達なのですが、それぞれが重い過去や使命、状況を背負っている。だからそれを変える為に、自分の今の居場所としてタイムレンジャーとなり戦っている
終盤ではロンダーズファミリーは壊滅し大消滅というイベントが起こります、それを止めてしまえば未来が変わる可能性がある
だから竜也は未来人である彼らにそれをさせない為に未来に帰す訳ですね
そして31世紀に帰ってきた彼らはそこが自分にとって理想としていた状況であることに驚き(シオンは例外)、そして明日には記憶を書き換えると宣告されます
そこで彼らは苦悩するんです、「未来が変わった31世紀」か「未来が変わるか分からない21世紀」
竜也と過ごした時間を思い出しながら…
彼らは最終的に「21世紀を守る」事を選択します
確かにそのまま31世紀に居れば自分達の過去は無かったことになるでしょう
でもそれは自分で選んだ道ではない、21世紀に居た間に彼らは
自分達の境遇や過去に向き合い成長した
竜也と出会い変わることが出来た
一緒に戦って絆を育んできた

時には泣いたかもしれない、悩んだかもしれない…でも一緒に笑いあって大切な想い出を築いてきた……
それを無かったことにしたくなかったんでしょう
理屈などでは分かりきれずおさまらない大きな想いや絆がそこにあったから…
だから彼らは明日を変えない事を選び「21世紀を守る」事を自分達の意志で決めた
自分達の為に戦っていた彼らが何かを守るために戦うことを決めた
そういった過程を丁寧に積み重ね最終回で遂に「星を守る」というテーマを見事に結実させ大きなカタルシスをもたらしてくれました

設定に粗があっても感情に粗がないから気にならないのがこの作品で、作品として何が大事かをちゃんと見極めてるのが分かります
この作品を総評してみて分かりましたが、やはり秀逸なんですよね、テーマとキャラ、ドラマの扱いが本当に巧い

展開や抱えているものは凄く重たくても、彼らの明るさや前向きな姿勢によって暗さを必要以上に感じさせないのも良い点と言えます
シリアスなドラマパートが続いた後は箸休めとしてのコメディも適度に挟み、それすらもキャラの日常を描くことに注力したりと無駄がありません
年間構成としては「キャラクターひとりひとりに設けられた作品としてのサブテーマを最終的にメインテーマに集束させる」というとても高度な技術の伴う形になっていて、そのドラマ的なカタルシスの凄まじさとキャラクタードラマの秀逸さや完成度は歴代随一であり、アニメや特撮、漫画などの文芸作品を含めても、これ程の逸品は中々お目にかかれないと思います
まぁ秀逸さに重点を置いた結果、詰めが甘い部分も残ったのも事実ではあるんですが
アクションに関してもイマイチ迫力が足りず消化不良な所はあるものの、この作品はキャラの成長要素をそのままアクションに直結させることで上手く解消していたと思いますし、その成長要素によってアクションがとても際立つ所もあったりするので、あまりマイナスには感じませんでした。


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トーリー   A
ドラマ     S
キャラクター  S

アクション   D
デザイン    B
BGM      B
役者の演技   S

総合評価    A


ヒーローものでありながら正義と悪という概念すら取っ払い、しかしスーパー戦隊としての根本を決して忘れずに「現代に生きる若者を描いた不朽の名作

それが僕にとっての未来戦隊タイムレンジャーです